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技術と熱意を映し出す「鏡」 [プレップアップ]

手を抜けばヘソを曲げ、懸命に手を入れると輝く…
そんなペトロフの一面を今日は実感。10年を経た味わい深い響きながら凸凹した音質、もわっとしたタッチをリセット。その原因は楽器の問題というよりも調整不足によるもの。チェコの名器は時として調律師(ピアノ店)の技術力と熱意を写し出す「鏡」のように思えます。

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現在は弊社でプレップしたピアノのみメンテに対応していますが、今回ばかりは10年前に購入されたP118C1を特別に現地で調整。

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ハンマーの動作不良(スティック)が発生、打弦した後に戻ってきません。湿気過多による影響...

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まずは汚れたチューニングピンをクリーニング(右ビフォー・左アフター)ハンマーの間隔も不揃い、調整不足がうかがえます。

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キーピンのベトツキで少し上げた鍵盤が降りてきません。弾き心地が鈍化する理由のひとつ。

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チューニングピン&弦を磨いた後、ひとつひとつ弦合わせを実施。

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弦溝の位置がまちまち、この機にリセットします。

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ファイリング作業によって弦溝をきれいに取り除きます。(左ビフォー・右アフター)

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布ヤスリで卵型にひとつひとつのハンマーを整形。

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弦合わせを再度チェック。やっと新品に近い状態までハンマーは復活。凸凹だった音質も揃ってきました。

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鍵盤を外して棚板にたまった埃を清掃。

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キーピンの汚れを1本1本きれいに拭います。

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棚板のネジを増し締め。

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フロントキーピンの角度が斜め、これもタッチに影響あり。

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定規をあてながら角度を修正していきます。

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汚れたキャプスタンスクリューを磨いて円滑な動きに(左ビフォー・右アフター)

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キーホールを清掃するためブラッシング、木屑が混入していました。

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調律はA=442に...

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硬い音質にはフェルトに針を入れて音量バランスを整えます。

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3弦合わせ、フェルトの表面をきれいに処理。艶々しく深みのあるサウンドに...

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遠かったハンマーストップをざっと15mmに設定。弾きやすさが生まれました。

ただ半日かけても作業はまだ道半ば...弾き込まれたピアノの再調整は「マイナスからのスタート」です。
基礎の調整(プレップアップ)があって高度かつ音楽的なメンテナンス(維持管理)は可能、調整の土台がなければ「ピアノの個性」はずっと埋もれたままです。それが日本における過去のペトロフピアノに多く見られる傾向であり、2013年に輸入販売元として弊社ピアノプレップが新たに設立されるに至った理由となります。
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